東海大学は付属校の生徒達の才能発掘のため、学園オリンピックを実施しています。スポーツ大会の他、国語・数学・理科・英語・造形・音楽・知的財産・ディベートと8つの部門があります。コロナ禍の前は4月から5月に作品を提出し、入賞作に選ばれれば夏休みに5泊6日の夏季セミナー合宿に参加し、大学の先生方の指導を受け、さらに力を伸ばしてゆくことができました。今年は8月上旬、5日間のオンラインでのセミナーを経て、与えられたテーマで二次課題の創作に取り組み、今日がその講評会と言う流れになりました。以前のように集まれず、すべてオンラインの活動ですが、学園オリンピックコロナ下バーション始動です。
今回国語部門にエントリーして、大賞をいただいたのは3年生の菅野伽琉さん。最初は白竜湖を題材にした小説でエントリーし、二次課題は与えられたテーマの中から、「雷と川」に取組んだそうです。結果は大賞!国語部門での大賞受賞は本校では初めての快挙です。
最初に文化社会学部文芸創作学科の3年生が作品を朗読してくれます。次に先生からの講評がありました。
「菅野さんの作品は、最初のシーンから映像が浮かんでくる。自分で書けるものは限られていて、何を書こうか決めるときに真剣に選んだ気がする。これは地元で見たり聞いたり、経験したりしないと書けない、菅野さんにしか書けない作品。」「学園オリンピックなので、これまでの講義を聞いて作品がどう変わっていったかを評価の基準の一つとして持っている。」「小説は自己開示。冒頭のシーンや文体もとても良い。」との評価をいただきました。
受賞した菅野さんからは「3年ぶりに開催された学園オリンピックは、私にとっては最初で最後。自分では満足している。題材は地元宮内に伝わるものからとった。」と、指導してくれた先生方や朗読してくれた大学生への感謝の言葉とともにコメントがありました。
菅野さんは物心ついたときから絵本のようなものを書き、小学校の頃は童話を書いていたそうです。書くことが小さい時から好きだったと言います。今回、他の生徒達の作品は「今」を書いているのに、自分は現代ではなく近代くらいを書きたくて、場違いかと思ったと思ったそうですが、審査員の先生方からは好評でした。
こうしてみるとしみじみすごいなぁと感じます。高校生が小説を書き、今回はオンラインではありましたが、大学の先生方の講義を聞き、ブラッシュアップしてゆく。以前知的財産部門で受賞し、特許までつなげた生徒がいましたが、学園オリンピックの幅の広さを感じます。
菅野さんは当然、東海大学文化社会学部文芸創作学科への進学かと思ったら、教養学部芸術学科でずっと続けてきたフルートに取り組むとのこと。やがて音楽と小説が一致するような世界を目指したいと夢を語ってくれました。未来を見つめる目のくっきりしている事に再びびっくりでした。東海大学は湘南キャンパスに大部分の学部学科がそろっており、主専攻の他になんでも学ぶことができます。今回お世話になった文学部や文化社会学部の先生方とも交流を続け、豊かな大学生活を送ってくれるだろうと思うと楽しみです。