3月11日は祈りの日。13年目となり、現在の1.2年生はまだ3歳か4歳。何があったのか実際の体験として心にとどめるのは困難な年頃かと思います。私達にとっては忘れられない記憶。「あの日も学校は昼で授業が終わっていて、校内には部活動のために残っている生徒達がいた。」「粉雪が舞う日だった。」「停電で信号がストップした。」「交通機関は止まり、保護者の迎えを待つ生徒が全部退校したのは夜になってからだった。」自然災害で一瞬のうちに壊れてしまう日常を強く意識する日です。地震発生の時間には校内にいる生徒が少ないため、朝の時間に黙祷をすることにしています。
こんな日は、いつもより余計に日々の活動が大切に感じます。何気ない日常があっという間に切り取られてしまった方は、行方不明、関連死を含めると22,000人を超えるそうです。この日を境に生活が激変した方を数えれば、気が遠くなりそうな数になることでしょう。被害にあわれた方を追悼するとともに、改めて自分たちの日常を大切にすべきと心に刻む日でもあります。
そんな気持ちで迎えた11日、本校のアニメーション選択者をご指導いただいている垣内さんが、ハリウッドへいらっしゃると言われ、一瞬「?」となりました。垣内さんはストップモーションアニメーター。生徒たちが指導を受けてアニメーションを作っています。
実は垣内さんのご家族が「ゴジラ-1.0」でアカデミー賞で視覚効果賞を受賞された4人のうちの一人と知り、「?」が「!」となりました。アニメーション選択の学びを立ち上げる時から「テレコム」様と「白組」様にお世話になりました。2020年度から授業が本格化しましたが、コロナ禍でしばらくオンラインでのご指導が中心、実際においでいただけたのは年に一度でした。ようやく今年度は定期的に来校していただき、直接御指導をいただくことがでるようになりました。恵まれた学習環境にいると、ついついそのありがたさを忘れてしまいがちです。
生徒たちが数分のアニメーションを作り上げるだけでも、膨大な時間がかかっています。映画館で私たちが楽しむような作品にかける時間は一体どれほどなのだろうと思うと、この晴れの写真も特別なものに見えます。
「ゴジラ-1.0」は戦争中から始まり、大空襲で焼け野原になった東京の様子が映し出されます。瓦礫の山は、3.11、ウクライナ、ガザ、1.1と自然災害と戦争が破壊した21世紀の姿と重なります。視覚効果が素晴らしいのはもちろんですが、様々な意味で深いメッセージを感じる映画でした。